道草の時間

アクセスカウンタ

zoom RSS カラスムギ、別の名はチャヒキ

<<   作成日時 : 2009/06/06 20:18   >>

驚いた ブログ気持玉 10 / トラックバック 0 / コメント 16

今の季節、路傍のカラスムギは、熟した実が黒く乾いて、ぱらぱらと地面に脱落しています。実が落ちたあとの穂には苞頴しか残りません。

イネ科植物には、○○○チャヒキをいう名の植物がいくつかあります。スズメノチャヒキ、カラスノチャヒキ、チャボチャヒキ、ウマノチャヒキなど。これらは、カラスムギを別名チャヒキ、またはチャヒキグサとよぶことから、カラスムギに似ているという意味で付けられた名称です。つまり、カラスムギはチャヒキ一家の親分です。

ではなぜカラスムギのことをチャヒキとよぶのでしょうか。広辞苑で「ちゃひきぐさ」をひくと、「爪(つめ)の甲に唾(つば)をつけ、その実をのせて吹くと、茶臼をひくように回るから名づける(俚言集覧)」とあります。しかし、この説明では、とてもそのようになるとは思えません。すぐ爪から落ちてしまいます。

そこで、自分流に次のようにしてみました。なにか爪の代わりになるようなものはないかと机上を見たら、ホチキスが目にとまりました。そこでホチキスの先に、拾ってきたカラスムギの実を写真のようにセロテープで留めました。次に絵筆に含ませた水を護頴から出ている芒(のぎ)の根元につけました。すると、くの字にまがった芒がゆっくりまわり出しました。そして限界に達すると回転は止まり、実が乾くと芒は逆回転してもとの位置に戻りました。この運動を茶ひきになぞらえたのだと思います。

では、このような芒の回転は、実にとって何の役に立っているのでしょうか。そこで、紙の上にフリーの状態でカラスムギの実を置き、筆で水をつけてみました。こんどは、芒の回転の力で、実自体が回転します。このような運動は、カラスムギの実が地面に落ちたのち雨で濡れると、回転しながら自力で土にもぐるのに役立つと聞いたことがあります。濡れては回転し、乾いては逆回転して少しずつ位置を変え、ついには土にもぐり込むのでしょうか。

ところで、芒はどういう仕組みで回転するのでしょうか。実体顕微鏡で、回転前の芒と、濡れて回転を終えた芒を見比べてみました。回転前の芒は溝のある細い筒がらせんに巻いた状態になっています。回転後の芒はらせんが完全にほどけ、溝は直線状になっています。乾くとまたらせん状に戻るのです。まるで形状記憶製品のようですが、芒の基本構造はどうなっているのでしょうか。興味のあるところですが、これ以上のことは分かりません。

カラスムギの群落の下は、今や脱落したカラスムギの実で一杯です。以下は想像なのですが、晴天で、土が乾いていたら、実たちはじっと動きません。一雨来て地面が濡れます。無数の実は、一斉にぞろぞろ動き始めます。それを見ると、なんだか異様な感じがすることでしょう。

カラスムギ (Avena fatua L.) はヨーロッパ原産の帰化植物で、世界に広がっています。チャヒキという古そうな名がついているので、帰化したのはかなり昔のことだったのでしょう。ムギと一緒に麦畑に生えるので、ムギとともに日本にやってきたと考えられているようです。実が熟すとぱらぱら落ちる性質は、いかにも野生種の感じです。牧草として利用され、またオートミールの材料となる栽培種のオートムギ(別名マカラスムギ Avena sativa L.)はカラスムギの近縁種で、こちらは実が脱落しません。カラスムギもオートムギも異質6倍体でゲノム構成は AABBDDです。なお、オートムギは、農学、農業の分野では、エンバクとよぶことが多いのです。

画像

画像

実を散らすカラスムギ(6月1日)



画像

実をホチキスの先に留めました



画像

絵筆で水をつけます



画像

芒が回転する様子が分かります



画像

実を紙の上に置き、水をつけました
こんどは実自体が回転します



画像

実体顕微鏡で見た芒の写真
上:回転前、下:回転後



画像

開花時のカラスムギ(5月11日)



にほんブログ村 花ブログへにほんブログ村 花ブログ 季節の花へ








テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 10
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた
面白い 面白い
ナイス ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
驚きですね
芒が、一角鯨の角に見えてきました
なるほど・・・これが水分で、よじれたり 元に戻ったりするのですね その芒が途中で曲がっている事が 道端を制した理由なのでしょうか
まさに自然の驚異です 早速実験してみなくては・・・。
yajiro
2009/06/06 23:37
カラスムギの実験、興味深く読みました。チャヒキとはうまくたとえたものです。他のイネ科の植物はどうなんでしょうかね。タンポポの綿毛も双眼実体顕微鏡で拡大して見ると、果実にとげがあって、そのとげは上向きだったりします。授業で綿毛を見ると、中学生もびっくりしています。ぼくらが普段見過ごしていること、もしかしたら、たくさんあるのかもしれませんね。
それと、コマツヨイグサはかわいいのでとても好きです。しかし、夕方から咲き始めるので撮影には不向きですね。私も朝にまだ咲いているものを撮影したりします。
宮城野
2009/06/07 06:01
テルテルさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2009/06/07 11:28
yajiroさん、コメントありがとうございました。
最初の写真は野原がバックになっていますが、交通のはげしい国道や県道の脇には、長く続くカラスムギの群落を見かけます。場所によっては、イヌムギを圧倒しています。芒が役立っているのでしょくか。
エフ・エム
2009/06/07 11:36
宮城野さん、コメントありがとうございました。
タンポポの綿毛はまだ実体顕で見ていません。おもしろいことをうかがいました。こんど見てみます。
マツヨイグサの花の撮影には、早朝の方がいいかも知れませんね。
エフ・エム
2009/06/07 11:41
面白いですね〜。
メカニズムに一つの無駄もありませんね。一つにそれぞれの意味がある。カラスムギもオートムギも異質6倍体ですか。珍しいでしょうね。
>タンポポの綿毛も双眼実体顕微鏡で拡大して見ると、果実にとげがあって・・。身近にあるたんぽぽ、見てみたいですね。
ワイ
2009/06/07 19:38
dragon pearlさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2009/06/07 22:05
面白い実験ですね。紙縒り状の芒が解けて回転する仕組みがよく分かりました。自然ってすごい知恵ですね。そうして自分で土の中に入り、子孫を繁栄させるのですね。 とっても楽しい理科の授業みたいでした!
風さん
2009/06/07 22:10
すご〜く面白い内容でした。もう、驚異の世界。
学校でこういう授業を受けていたら、
きっと、もっと早く(子どものうちから)、
私も含めてもっと多くの人が、植物に強い興味をもったことだろうと思います。
今からでも遅くない、と自分に言い聞かせました。

さとみ
2009/06/07 22:57
ワイさん、コメントありがとうございました。
植物が種子を分散させるためにいろいろ工夫しているところが面白いですね。ひまにまかせて、いろいろ調べてみたいと思っています。
エフ・エム
2009/06/07 23:08
風さん、コメントありがとうございました。
こういうことが昔から分かっていて、チャヒキという名がついているのはたいへんおもしろいと思います。
他のイネ科植物でも、芒が落ちた種子を移動させる可能性があるようです。文献などではっきりしたら、またそのことについて書いてみたいと思います。
エフ・エム
2009/06/07 23:27
こんばんは
興味深い、ご報告とても勉強になりました。
こんな仕組みを植物は持っているのですね。
生きるための知恵なんでしょうか。
驚きました・・・
YAKUMA
2009/06/07 23:30
さとみさん、コメントと気持玉をありがとうございました。
おもしろく思っていただけるとうれしいです。
いろいろブログネタを探してみようと思っています。
エフ・エム
2009/06/07 23:38
hummingさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2009/06/08 08:21
YAKUMAさん、コメントありがとうございました。
植物の何げない構造もそれなりに目的をもっていることを思うたびに、自然はおもしろいものだなあと感じます。いかにして子孫を多く残すか、それぞれ工夫をこらしているのですね。
エフ・エム
2009/06/08 08:28
atsu-sixさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってありがとうございます。
エフ・エム
2009/06/08 17:16

コメントする help

ニックネーム
本 文
カラスムギ、別の名はチャヒキ 道草の時間/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる