道草の時間

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zoom RSS スイバの雌花・雄花

<<   作成日時 : 2010/05/08 22:54   >>

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スイバ (Rumex acetosa L.) は道ばた、野原、畦道、土手など、いたるところに生えて風に揺らいでいる、おなじみのタデ科の多年草です。アジア、ヨーロッパに原産する植物ですが、世界各地で帰化しています。

スイバは雌雄異株の植物で、雌雄とも円錐花序を形成します。したがって、遠目には雌雄とも似たように見えますが、近づいて花を見ると、その違いがはっきりします。雌花は外側の花被は開きますが、内側の花被は子房を包み、この花被の上部から柱頭が外に出ます。柱頭は真っ赤で、なかなかきれいです。受精後、果実は内側の花被に包まれたまま大きくなります。雄花では外側と内側の花被が開き、雄しべが露出します。

スイバははっきりとわかる雌雄異株の草本ですので、植物の雌雄性を研究するためのよい材料の一つです。スイバには、6対(12本)の常染色体のほか、X染色体とY1およびY2と名付けられた2つのY染色体があります。

X染色体やY染色体は性染色体とよばれ、一般にヒトをはじめ、多くの動物で知られています。たとえばヒトは22対(44本)の常染色体のほか、女性では2本のX染色体をもち、男性は1本のX染色体と1本のY染色体をもっています。ショウジョウバエでは、3対(6本)の常染色体のほか、雌は2本のX染色体、雄は1本のXと1本のY染色体をもっています。

一方、植物では、ごくわずかな種で性染色体が見つけられているだけです。その一つがスイバです。スイバのX染色体とY (Y1とY2)染色体を発見したのは、木原均博士と小野知夫博士で、その成果は1923年に「植物学雑誌」に掲載されました。不思議なことに、外国でも、植物の性染色体発見の報告は1923年という年に集中しています。それらの植物はカナダモ、ホップ、カナムグラ、バリスネリア・スピラリス(トチカガミ科)、ホワイトキャンピオン(ナデシコ科)です。スイバと並んで、ホップ、カナムグラおよびホワイトキャンピオンは今も植物の性決定に関する重要な研究材料になっています。

性染色体発見以来、スイバの性決定について分かっているのは、次のようなことです。(以下、C.C. Ainsworthらの総説 Sex determination by X:autosome dosage: Rumex acetosa (sorrel); Sex Determination in Plants; BIOS Scientific Publishers Limited, 1999 を参考にして述べます。)

スイバは自然界では、雌株は 2n=12 + XX、雄株は 2n=12 + XY1Y2 という染色体の構成です。そして雌株では、減数分裂の結果、n=6 + Xの配偶子(卵細胞)をつくります。一方雄株では、減数分裂により、n=6 + X と n=6 + Y1Y2という2種類の配偶子(花粉の中の精核)をつくります。したがって雌配偶子が雄配偶子のどちらかと受精することにより、2n=12 + XX の雌と、2n=12 + XY1Y2の雄が次代に生じるわけです。

その後の研究で分かってきた最も重要なことは、Y1 染色体も、Y2 染色体も、スイバの性決定に関係していないということと、性決定はX染色体の数と常染色体のセットの数との間の比率で決まり、X染色体数/常染色体のセット数が 1.0 以上なら雌株、0.5 以下なら雄株になるということです。自然界では、雌株は 12(=2セット)+ XX ですから 2/2=1、雄株は 12(=2セット)+ XY1Y2 ですから 1/2=0.5となります。人為的にスイバの倍数体を作って二倍体の個体と交雑し、三倍体やいろいろな異数体を作って調べると、この比率が 1.0 以上のものや、0.5 以下のもの、また1.0 から 0.5 の間のものの性が分かります。おもしろいことに、比率が 1.0 から 0.5 の間のものは、機能的には十分でないとしても、ともかくも雄しべと雌しべをもつ両性花をつくるのだそうです。

このようにして、スイバの性決定は、X染色体と常染色体との相互作用、厳密には遺伝子相互作用によっている筈で、現在はいかなる遺伝子が相互作用において性決定に関与しているかに関する研究が進んでいると思います。

なお2つのY遺伝子の方は、性決定には関与していませんが、花粉の発達に重要な役割を果たしていることが分かっています。

かたい話になってしまいましたので、方向転換。

スイバは欧米では栽培され、野菜として食べられているようです。Wikipedia には、ピューレとしてスープやソースに使われるとあります。その味はキウィフルーツ、または野生のストロベリーに似ているそうです。ただし、鋭い味は有毒な蓚酸によるのだから、少量なら無害だが、大量に摂ると危ないとも書いています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sorrel
また、スイバスープのことは、別ページにもありました。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sorrel_soup

日本ではスイバを食べないのかと思って、ネットで検索して見るとそうでもないらしい。いろいろ食べ方があるようですから、食べてみたい方は検索してみて下さい。

最後に、北原白秋のなつかしい童謡「すかんぽの咲くころ」(「すかんぽ」はスイバの別名)

土手のすかんぽ ジャワさらさ。
昼はほたるが ねんねする。
ぼくら小学 
尋常科。
けさも通って またもどる。
すかんぽ、すかんぽ、
川のふち。 
夏がきたきた 
ド、レ、ミ、ファ、ソ。

「ジャワさらさ」はバティックのこと。さわやかな感じです。

なお、イタドリの別名も「すかんぽ」ですが、イタドリの咲く頃は秋です。なお、白秋には「いたどり」という題名で、「いたどり、いたどり、虫くい葉、熱いひでりになりました・・・」という童謡もあります。白秋はイタドリを「すかんぽ」とはよばないのかも知れません。


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道ばたのスイバ




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雌株と雌花




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雄株と雄花



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追加写真:今日(9日)散歩に出たら
雌株はもうこんな状態でした



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追加写真:デートだよ



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ギシギシとアレチギシギシ
暑苦しい時期に暑苦しい植物ですみません。暑苦しくても、これらもまた花の咲く植物。他の植物と平等に扱うことにします。梅雨の晴れ間の野原に咲くギシギシ (Rumex japonicus Houtt.) とアレチギシギシ (Rumex conglomeratus Murr.) です。 ...続きを見る
道草の時間
2010/06/21 22:59

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コメント(17件)

内 容 ニックネーム/日時
今日まじまじと見てきました。
でも姫のまじまじなんてどうってことないの^^
わぁ〜 赤い小さな花がびっしり!と思いました。
結構柔らかい。
雌花のような気がするけど、これほど赤くはなかったような・・・。
3枚目は真っ赤ですね!
これは最盛期だったのでしょうか?
あっ でも私、雌花と雄花が良くわかっておりませんゆえーー、
池田姫
2010/05/09 21:46
こんばんは
スイバの赤い花が目立ちますね。
緑の葉との色合いが素敵です。
子どもの頃、祖母が食べられるけど食べてはいけないと言っていたような記憶があります。
食べ過ぎると毒だからだったのでしょうか。
今となってはよく分かりません・・・
YAKUMA
2010/05/09 21:59
池田姫さん、コメントありがとうございました。
そちらではまだ咲いていましたか。姫のまじまじで花もよろこぶでしょう。
こちらはもうほとんど実になっていました。花にも実にも色の濃淡にはバラエティがありますね。真っ赤、ピンク、白まで。
エフ・エム
2010/05/10 08:56
YAKUMAさん、コメントありがとうございました。
色合いだけでなく、すがた、かたちもいいですね。
食用ときくと食べてみたい気がしますが、もう遅いですね。
蓚酸をあまり摂って、痛風や腎石になるといけません。
エフ・エム
2010/05/10 09:03
前回の、スズメノヤリと同様、
野草もそれぞれ、奥深い物が有りますね。
見慣れていて、なかなか、じっくり見たり調べたりしませんもの。
参考になりました。

細い竹の茎の様なイタドリ(スカンポ)は、子供の頃、よく食べました。
今頃の時期、ハイキングに行って、チョッと脇道に入ると生えていました。
採るのに夢中になって、どんどん奥に入り、
帰り道が判らなくなり、あわや遭難しかかった思い出も、、、。
皮をむいて塩をかけ、一晩置くとしんなり。
醤油と鰹節をかけて食べると最高
T&M 
2010/05/10 14:26
こんにちは。前回同様参考になります。
スイバをほんの少しですが、生で皮を剥いてかじって見た事があります。
スイバと言うだけあって酸味を感じました。
でも沢山食べてはいけないのでしょうか?
kako狸
2010/05/10 17:01
スイバはよく見るとなかなかきれいだなとは思っていました、ここまで詳しく見たことがありませんでした。どこにでもある雑草と思っていましたが、興味深い草ですね。
小梨
2010/05/10 21:41
T&Mさん、コメントと気持玉をありがとうございました。
スイバは役に立たないただの雑草みたいに見えますが、野菜として、実験植物として、役立っているのは大したものです。まだまだ、他の雑草も利用すべきものがあるかも知れません。
イタドリは私も子供のころよく食べました。父がよく、極太のものを探してきたものです。料理はせずに、そのままかじったものでした。醤油と鰹節で食べるとおいしいのですか。機会があればためしてみたいです。
エフ・エム
2010/05/11 11:00
kako狸さん、コメントと気持玉をありがとうございました。
スイバは名の通りやはり酸っぱいですか。私はまだ試していません。やはりちゃんと試しておくべきですね。
たくさん食べてはいけないと書いてありましたが、そんなにたくさん食べられるものではないのではないかと想像しています。
エフ・エム
2010/05/11 11:06
isaacさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2010/05/11 11:16
小梨さん、コメントありがとうございました。
スイバはそれぞれ色に違いがあって、集団で咲いているととてもきれいですね。遺伝学者も美しさと多様さに惹かれて、実験材料にしたのかも知れません。
エフ・エム
2010/05/11 11:22
dragon pearlさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2010/05/11 11:23
こりゃ詳しい文献ですね。
植物のうわべばかりを見ている私には、スイバを食べる話で、「私もオヤツにして食べた」と応えていました。
スカンポとイタドリさらにはスイバ、各地で呼称が混同しているものなのですね。
Tatehiko
2010/05/11 17:49
Tatehikoさん、コメントと気持玉をありがとうございました。
イタドリやスイバは皆さん食べたりかじってみたり、いろいろ思い出があるようで、楽しいコメントをいただきました。
イタドリもスイバもスカンポとよぶなど、別名もまたおもしろいですね。
エフ・エム
2010/05/12 08:56
isaacさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2010/05/12 08:58
こんにちは
スイバ(ギシギシと呼んでたけれど違う種類ですか?)は、子供のおやつでしたね。塩をつけるともっと美味しいと母が言ってました。

北原白秋さんは、柳川のご出身なので、スカンポはスイバの事だろうと思います。
(里の方では、あまりイタドリは見た事がないので…と言っても同じ県内とは言え、里から車で30分以上離れているので、何とも言えませんが…)

白秋さんの実家は一度見に行った事があります。
天井が低くて、びっくりした事を思い出しました。

「廃れたる園に踏み入り たんぽぽの白きを踏めば春たけにける」と言う白秋の歌がありますが(今思い出して調べたので、私が物知りだというわけではありませんよ)
九州の里の方では、白花タンポポが多かったような気がします。
耕作されなくなった田んぼとかの、少し湿った所に生えていました。
乾いた道路沿いには、西洋タンポポが生えていました。
まんじゅ猫
2010/05/14 23:01
まんじゅ猫さん、コメントと気持玉をありがとうございました。
標準和名でギシギシというのは、スイバによく似ているけれども、別種の植物です。しかし、地域的にはスイバをギシギシとよぶところがあるかも知れません。多分食されたのはスイバでしょうね。 北原白秋の「廃れたる園に踏み入り・・・」の歌は読んだことがあります。私はタンポポは黄色というイメージが強かったので、花が終わって綿毛をつけたタンポポの園と想像していました。シロバナノタンポポの花が咲いている情景の方が自然かも知れません。ありがとうございました。
エフ・エム
2010/05/15 16:52

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