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zoom RSS チヂミザサ;ヒッツキムシの正体

<<   作成日時 : 2011/11/23 21:20   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 46 / トラックバック 0 / コメント 49

ケチヂミザサ (Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roem. et Schult.) はユーラシア大陸に広く分布するイネ科植物で、林の陰などにごく普通の1年草です。小穂のつく軸に毛が目立ち、その部分に毛がほとんどない近縁のコチヂミザサ (Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roem. et Schult. var. japonicus (Steud.) Koidz.) と区別できます。しかし、両者の中間型で、どちらとも判別できかねる個体もあるようです。

両者とも単にチヂミザサともよばれます。限定的にコチヂミザサをチヂミザサとする図鑑もあります。以下は両種に共通する特性なので、チヂミザサとして記述します。

チヂミザサの花は、小さくて見過ごしてしまいがちですが、よく見るとたいへん美しいことが分かります。目立つのは小さなブラシのような雌しべで、色は白〜ピンク、風に吹かれている様子が可愛く見えます。

このように美しい花も、実になると、いや〜なヒッツキムシに変身することになります。チヂミザサはごく目立たない草なので、その草むらにうっかり足をつっこむことがよくあります。そうすると、待ってましたとばかりに、ヒッツキムシと化したたくさんの小穂が、ズボンのすそにべったりひっついてきます。べとべとした粘液によってひっついているので、取り払うのにひと苦労。取り払ったあとも、ズボンのすそがべとべとです。

この粘液は、小穂の第1苞頴と第2苞頴、および第1小花の護頴についている芒(のぎ)からの分泌物です。この粘液が何かに関して、ネット上を検索してみたところ、かなり古い論文がみつかりました (http://herbarium.usu.edu/translate/oplismenusscholz.html#secretions)。それによると、この粘液は非水溶性の成分を含むらしく、水洗いでは完全には落ちないようです 。したがって、粘着物はグリコシドやポリサッカライドではなく、テルペノイドまたは他の親脂性の物質と推測しています。その後の研究に関する情報は見つかりませんでしたが、何か新しい情報がありましたらお知らせ下さい。

ヒッツキムシが動物の体にひっつくのに2つの型があります。棘や鉤によるものと粘液によるものです。多くは前者の型ですが、後者の型にはチヂミザサのほか、メナモミやオオバコがあります。

芒はイネ科植物に特有の構造物ですが、進化の過程でできてきたものですから、当然なにかの役目をもつものと思われます。芒が果実の運動に関係する例については、以前に述べたことがあります。
http://michikusanojikan.at.webry.info/200906/article_3.html
http://michikusanojikan.at.webry.info/200906/article_8.html

チヂミザサの芒は、上の例とは別の役割、すなわち粘液を分泌することによって、ヒッツキムシとしての重要な役割を果たしているわけです。

ほんとうに迷惑なヒッツキムシですが、その巧みな戦術には感心させられます。

画像

ケチヂミザサの花 (10/25)

花軸の毛がケチヂミザサの特徴
コチヂミザサはこの部分がほとんど無毛



画像

白〜ピンクのブラシ状のものが雌しべ
ぶら下がっている細長いものが雄しべ



画像

成熟した実をつけたケチヂミザサ (11/12)

こんな草むらに足を突っ込むと大変



画像

待ち構えるヒッツキムシ



画像

ヒッツキムシは小穂ごとはずれる

小穂は2小花からなる
第1小花は不稔、第2小花が結実する
芒(のぎ)は第1および第2苞頴と第1小花の護頴から出る



画像

小穂を実体顕微鏡で覗いてみた

画面をクリックしてみてください
芒のベトベトした感じが分かりますか



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コメント(49件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは、「お気に入り」にさせて頂いています。
挨拶が遅れてスイマセン。
チジミザサ、ルーペ目線で見ると綺麗ですよね。
良く引っ付き虫にはやられています。
hen_oji
2011/11/23 22:07
こんばんは
私もこの花は好きな花のひとつです。その魅力は最近気が付いたのですが・・・
このベトベトは本当に厄介ですよね。靴下などにつくと意外と痛いですね。
YAKUMA
2011/11/23 23:25
チジミザサ、庭隅に毎年生えます。
若葉の頃の葉の色が美しく抜こうか否か迷いますが、花壇に蔓延しそうになるので抜いていました。
知らぬが仏、放置しておくとネバネバ被害に会いそうだったんですね。来年は花まで見てから抜くことにします。
花は美しいとはいえ長い棘はやはり尋常ではありませんね。
実体顕微鏡があるといいですね〜。
夕菅
2011/11/24 08:54
最後の大きくして見たらまるで虫のようでした。
子孫を残す策略たるや凄いですね。
さしずめエフ・エムさんにはたくさん運んでもらいましょう。
この植物は見たことあるような・・・ないような・・。
もうヒッツキムシ姿ですね?今度の日曜にチェックしてみます。
池田姫
2011/11/24 16:10
これです!これです!
草むらに足を突っ込んだ時に必ずくっついて家に帰っても取れなくて。。。
チヂミザサと言うのですね。
お花!とても可愛いですね。
あっこちゃん
2011/11/24 17:00
hen_ojiさん、はじめまして。コメントありがとうございました。
ルーペ目線で見ると、けっこうきれいな花がありますね。いろいろ探索してみたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
エフ・エム
2011/11/24 17:14
hideさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/24 17:16
末摘花さん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/24 17:16
YAKUMAさん、コメントありがとうございました。
チヂミザサの花は普通に見ていたら気が付かないですね。とてもきれいですが、厄介なヒッツキムシとギャップがありすぎです。
エフ・エム
2011/11/24 17:22
えのもと@秋田さん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/24 17:23
夕菅さん、コメントありがとうございました。
チヂミザサは葉の色やかたちもいいですね。わが家の庭にも以前ぽつぽつ見られましたが、近頃は見当たらなくなりました。
でも散歩道では必ずといっていいほど出会います。注意していてもやられます。
イネ科の小穂を見るには実体顕微鏡が便利です。倍率の高いルーベでもいいのですが。
エフ・エム
2011/11/24 17:33
池田姫さん、コメントありがとうございました。
ヒッツキムシは盛んに運んでいます。知らないうちに、コセンダングサやオオオナモミの実をズボンにくっつけて歩いています。しかし、チヂミザサはいやですね。なるべく避けるようにしているのですが、ときどきやられます。
エフ・エム
2011/11/24 17:38
あっこちゃん、コメントありがとうございました。
やはり経験なさっていらっしゃるのですね。ところどころ群生していますから、そんなところに足を突っ込んだら大変です。
べとべとにまたなにかくっついて、しみなどできるとこまりますね。きれいな花にはだまされます。
エフ・エム
2011/11/24 17:46
ケロ太さん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/24 17:47
ホントにべとべとですね。この粘液でくっついていたのですね。
ケチジミザサの魅了はブラシ状の雌蕊だと思っています。
白くて陽にすかすとキラキラします。^^
とんとん
2011/11/24 18:04
チヂミザサをきれいだと思って優遇していたら、
たいへんなことになってしまいました。
私も来年は、花をよく見てから抜きます。
(と思いながらも、実ができてしまってあわてるんです)
ミセスサニー
2011/11/24 22:14
先生、こんばんは。最後の写真、本当に「虫」ですね。昆虫はもしかすると植物の種子の擬態ではないのかと思ってしまうほどです。というか、何かにくっつくため、落ちないためには、この地球では同じような構造を持たざるを得ないということなんでしょうけれど。いやあ、何かの昆虫の脚だと言われても全く疑わないと思います。
mnemo
2011/11/25 00:00
とんとんさん、コメントありがとうございました。
チジミザサの花のお好きな方がけっこういらっしゃるので、うれしく思っています。ヒッツキムシの方はいただけませんけれど、一生懸命な生き様には感心しています。
エフ・エム
2011/11/25 08:30
ヨッシーさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/25 08:30
ミセスサニーさん、コメントありがとうございました。
お庭にたくさん生えているのですか。花が身近に見られるのはうれしいですが、そのあとがたいへんですね。
1年草だから、そのままにしておけば消えますけれど。
エフ・エム
2011/11/25 08:38
kemochimeさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/25 08:39
mnemoさん、コメントありがとうございました。
イネ科植物が進化の過程で芒を作ったのは、果実の伝搬に役立たせるためではないかと思っています。それなら、それをより効率的に使おうをいうのがチヂミザサの戦略だったのですね。そして自分が作り出すことができる有機物質をたくみに調合して、粘液をつくり出し、芒に塗ったというわけです。方法は違いますけれど、風に揺れる葉っぱにでも難なく止まれる昆虫の脚と共通点があります。両者が似ているのはさもありなんという感じです。
話は違いますが、B級時代劇のお話をおもしろく拝読しました。水戸黄門て本当はどういう人だったのか、正確なことを知りたくなりました。
エフ・エム
2011/11/25 09:22
naominさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/25 09:24
ヒッツキムシの中でも粘液でついてくるものは本当に厄介ですよね・・。
畑の周りにはびこるヒッツキムシの群生に草刈や移動で足を踏み入れると大変なことになってしまいます。
ですが嫌われてもそうやって種を運んでもらい勢力を広げようという戦略には感心させられますが、これからもズボンに付いたヒッツキムシとの戦いは続きそうです(笑)
松の陰
2011/11/25 09:52
科学的な観察が出来る・・・素晴らしいですね。
チョッと素地がありませんから真似できませんが・・・散歩した時の写真的なスタンスでないものをあこがれますね。
Tatehiko
2011/11/25 19:31
この花は見た覚えがありませんが
美しくなかなか精巧な形をしていますね。
ヒッツキムシがべとべとした粘液という
強力な武器を持っているとは・・・
逞しいです!
I子
2011/11/25 21:51
チヂミザサは林を歩くとよく見かけますが、実がこんな厄介なひっつきむしだったとは。勉強になりました。
ひっつきむしにもいろいろあって面白いですね。
winning-field
2011/11/26 02:28
松の陰さん、コメントと気持玉をありがとうございました。
晩秋から冬にかけて、草むらにはたくさんのヒッツキムシがひそんでいますね。道草をしつつ、カメラに夢中になっていると、間違いなくやられてしまいます。靴下にびっしりつくとたまりませんね。途中で腰を降ろして靴を脱いで、摘みとることもよくあります。作業されていたら、なおさらですね。
エフ・エム
2011/11/26 08:17
Tatehikoさん、コメントと気持玉をありがとうございました。
ご評価いただきまして、恐れ入ります。へんな植物などを見つけると、こいつら、何を考えているのだろうなどと思いつつ、写真と撮っています。
エフ・エム
2011/11/26 08:21
I子さん、コメントと気持玉をありがとうございました。
花が咲く時期は8〜10月頃ですから、その頃是非さがして見て下さい。林のへりなどにはごく普通にあります。
庭にもよく侵入してきますが、ひょっとすると私自身が無意識で種を播いていたのかも知れないです。
エフ・エム
2011/11/26 08:31
winning-fieldさん、コメントありがとうございました。
昔はタヌキやキツネ、ノウサギなどが歩き回っていたので、それらがヒッツキムシのターゲットだったのでしょうね。今は野生動物が少なくなったので、こいつらの運び手は人や猫ぐらいでしょうか。彼らも世知辛さを感じているかも知れません。
エフ・エム
2011/11/26 08:38
totoさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/27 07:56
nonaさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/27 07:58
まりたさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/27 08:14
かなたさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/27 08:15
yasuhikoさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/27 08:21
マシュマロさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/27 08:22
ジュンチーさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/11/27 08:23
遅くなりました。
ヒッツキムシとは、よく言ったものですね。
草むらを歩くと、ズボンの裾や靴下につく
やっかいものも、花をよくみると可愛いものですね。
犬や猫の毛に、つく物もありますよね?
みーたん
2011/11/28 15:09
ヒッツキムシ、なるほど虫の形ですね
花は可愛いのに、トゲの長さはまるで針ですね。
こんなに長いと、目立って逆に警戒されそうな気もしますが
おまけに粘液まで持ってる。
進化とは言え、うまく造られていて感心しました
T&M
2011/11/30 11:06
みーたんさん、コメントありがとうございました。
ご返事が遅くなってすみません。
ヒッツキムシのターゲットは昔はタヌキやキツネだったと思いますが、いまはほとんどいませんから、たまに通る人や犬猫が頼りなのでしょうね。ヒッツキムシにとっても世知辛い世の中かも。
エフ・エム
2011/12/01 08:26
ほたるさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/12/01 08:28
eijiさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/12/01 08:34
T&Mさん、コメントと気持玉をありがとうございました。
まさにヒッツキムシという虫ですね。
トゲが長く、基部から先端まで粘液を塗っていますから、失敗なくひっついてしまいます。進化の先端を行く植物ではないかと思います。
エフ・エム
2011/12/01 08:40
チヂミザサにも2種類あるんですね。 ケチヂミザサの毛までバッチリ撮れていて感心しました。
小梨
2011/12/01 19:49
エフ・エムさん、こんばんは〜
こんな風になっていたのですか@@!ふわふわで綺麗だなぁとまでは、マクロ画像で見ていましたが、、
きっとズボンにたくさんつけて帰ってきていました。花を見つけると草むらへ引きこまれますから^^ゞ
三千子
2011/12/01 22:19
小梨さん、コメントありがとうございました。
ケチヂミザサとコチヂミザサは普通にあるのですが、ほかにもチャボチヂミザサ、エダウチチヂミザサというのがあるそうです。希種のようですけど。
エフ・エム
2011/12/02 09:10
三千子さん、コメントありがとうございました。
私もよくズボンのすそにつけて歩いています。道の途中で気が付いて、取り除くことがしばしばです。きれいな花が咲いていると、ヒッツキムシがいることを忘れてしまうのですね。
実体顕微鏡でのぞいて、なるほどこれはひどいと思いました。
エフ・エム
2011/12/02 09:26
おばブーさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2011/12/07 08:21

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