道草の時間

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zoom RSS セネシオのこと

<<   作成日時 : 2012/04/04 15:53   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 51 / トラックバック 0 / コメント 25

セネシオ(Senecio、セネキオとも)はキク科キオン属の学名です。セネシオの仲間は世界に1500種もあって、それらの形態は非常に多様です。日本にはキオン、サワオグルマ、サワギクのような、いかにも野草らしい黄色い花をつけるものが多いですし、今盛んに花を咲かせている道ばたの帰化雑草ノボロギクもセネシオの仲間です。園芸植物としてよく知られたセネシオにはシネラリア(サイネリア)やシロタエギク(ダスティーミラー)があります。また、吊り鉢によく植えられているミドリノスズ(ネックレス)は多肉セネシオの一種です。セネシオの仲間で最も驚異的なのはキリマンジャロで見られるというジャイアントセネシオ。その壮大なすがたをリンク先の写真でご覧下さい。

そのようなセネシオという属の際立った多様性にたいへん興味をもっているのですが、それとは別にセネシオという名のひびきに私は特別な魅力を感じています。Senecio とは 、本当は senex(老人)に由来する属名なのですが、私にはSenecioに別の意味があります。

若い頃、画家パウル・クレーの絵に傾倒した時期がありました。そのきっかけとなったのは、昭和34年 (1959) みすず書店発行の「現代美術」シリーズの中の「クレー」を手にしたことでした。この画集の解説は詩人でドイツ・フランス文学者の片山敏彦です。それぞれの絵に添えられた解説は詩のような響きをもつ名文です。

この画集の中に、クレーの名画「Senecio」が載っていました。その解説を引用してみます。


さわぎく SENECIO
1922

原作はスイス・バーゼルの美術館にある。この時期には人物画が多いが、その中でも特にこの絵は明るい充実した調和に充ちて、ベートーヴェンの「第8交響曲」の美しさを思わせる。白、黄、ばら色、橙々色、赤は春のいのちのハーモニーを作り、僅かな青は空の色の反射のようだ。

さわぎくの花のヴィジョンがクレーの心の中でこんな無邪気な少女の顔に変形(メタモルフォゼ)したのか? それともSENECIO セネシオというラテン的な花の名は、この少女の名なのか?



実際の絵が分からないと、こんな記事を書いても、ほとんど意味がないのですが、幸いにして、ネット上にこの絵が紹介されていますので、リンクしておきます (Olga's Gallery)。このほかにも、「Klee」と「 Senecio」で 検索するといくつかのサイトでこの少女に出会うことができます。

ところで、片山敏彦はなぜ SENECIO を「さわぎく」としたのでしょうか。サワギク(Senecio nikoensis Miq.) は日本固有種で、ヨーロッパにはないのです。しかし、明るく無邪気な花のすがたもさることながら、「さわぎく」という言葉のひびきがこの絵の少女によく似合うと感じられたのではないかと私は思います。

残念ながらサワギクの写真を持っていませんが、かわりにキオン (Senecio nemorensis L.) の写真を載せておきます。これもまた、サワギクに似た雰囲気があると思います。

画像

キオン

昨年秋、日光にて



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コメント(25件)

内 容 ニックネーム/日時
サワギクはたぶん見たことはなく、その別名がボロギクというギャップにまず驚きです。
ノボロギクはもうじき咲き出しそうです。
この絵がサワギクですか。タイトルも翻訳しているのですよね?ヨーロッパにない植物なら不思議な気がします。
でもサワギクというタイトルとは見た目じゃない、何か深いものを感じますね。
池田姫
2012/04/04 18:24
こんばんは
植物の思い出、色々とあるのですね。
ジャイアントセネシオ、すごいですね。サワギクは写真でしか見たことがありませんが、同じ属なのですか・・・
ノボロギクはよく見かけます。
YAKUMA
2012/04/04 21:29
totoさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2012/04/05 08:50
池田姫さん、コメントありがとうございました。
サワギクといえばさわやかな感じですが、ボロギクというと、印象がわるくなりますね。
クレーの絵に「さわぎく」と題名を付けたのは、詩人的発想ですね。植物学者がこんな題名を付けたら、つまはじきされるでしょう。
ヨーロッパにもセネシオの仲間は多いようです。どれもみな黄色くて陽気そうな花です。
エフ・エム
2012/04/05 09:06
このみさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2012/04/05 09:07
YAKUMAさん、コメントありがとうございました。
ジャイアントセネシオは見てみたいです。キリマンジャロに局地的ですから、とても不可能ですけど。以前、NHKの番組でしりました。ノボロギクと同属とは思えませんね。
エフ・エム
2012/04/05 09:12
winning-fieldさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2012/04/05 09:14
えのもと@秋田さん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2012/04/05 09:15
ボロギクのボロは日本語なんですね
花の後の綿毛がボロ布のようだから・・・
花にとって、この名前は、ちょっと心外でしょうね
サワギク、セネシオとは全然イメージが違いますものね。
クレーの「セネシオ」、明るい黄色、全体の楚々とした雰囲気が題名とピッタリ

今日も、花の名から絵画までの幅の広い話、楽しませて頂きました
T&M
2012/04/05 13:21
タビビトさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2012/04/06 08:39
T&Mさん、コメントと気持玉をありがとうございました。
Senecioは英語で一般にragwort、つまり直訳すると襤褸草です。そうすると、ボロギクのボロは、英名に由来するのかも知れません。英名のragが日本語のボロからきた可能性はゼロでなくても、非常に少ないでしょうね。あるいは、独立に日本でもボロと思い、西洋でもragと思ったという可能性もなきにしもあらずです。
サワギクの方が標準和名になってよかったです。
エフ・エム
2012/04/06 08:53
現代美術には余りなじみがないのでパウル・クレーについて待ったく存じ上げません。
ネットのサイトで少女の絵を拝見してきました。
少女のお顔がメタモルフォゼされていても
少女の明るさや幼さが推し量れるような色彩豊かな
絵画ですね。

あっこちゃん
2012/04/07 20:39
私もパウル・クレーに夢中になった頃がありました。
詩的な題名が謎解きのようですね。
なつかしくなって展覧会の厚いカタログ開きました。SENECIO はなかったのですが、偶然にもバーゼル美術館訪問記が挿まれていて、「サワギク」の小麦畑から飛び出したような健康色の少女のような絵が大きくプリントされていました!
夕菅
2012/04/08 00:32
yasuhikoさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2012/04/08 07:25
nonaさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2012/04/08 07:26
ジュンチーさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2012/04/08 07:27
あっこちゃん、コメントありがとうございました。
ちょっといいですね、SENECIOの顔。セネシオという花を見て、ここまで少女のイメージを創造するというのはさすがにクレーです。それを解釈する片山敏彦の鑑賞者としての創造力もすばらしいと思います。クレーにはほかにも楽しい絵がありますね。
エフ・エム
2012/04/08 07:37
kemochimeさん、気持玉をありがとうございました。
見て下さってうれしく思います。
エフ・エム
2012/04/08 07:38
夕菅さん、コメントありがとうございました。
クレーの絵は題名がまた魅力的ですね。その題名から絵のイメージが浮かび上がってきます。ナチスに嫌われた不幸な時期の絵には暗さ、おそろしさが感じれますし、晩年のものには祈りが感じられます。カンディンスキーとともに、今も好きな画家です。
エフ・エム
2012/04/08 07:52
サワギクは葉っぱの形がまた素敵ですね!
可愛い小菊が木陰でキラキラと咲いているところに感激しました。
ノボロギクもあぜ道に群生していて、ボロでも綺麗だな〜と眺めます。
キオン族の花は花びらが控え目な感じですね。
とんとん
2012/04/09 22:02
とんとんさん、コメントありがとうございました。
日本のセネシオは大抵小さい花が群がり咲いて、可愛いですね。ヨーロッパにはもう少し派手なセネシオもあるようですが、やはりクレーの絵はサワギクがぴったりするような気がします。
エフ・エム
2012/04/10 13:07
クレーの絵画に傾倒されたことがおありなのですね。私もドイツにいる頃は、絵画に興味ある友人たちの中で各地に見に行きました。
クレーの事も熱心に話してくれる友人の事を思い出します。
欧州には無いさわぎくをつけたというのも興味深いお話ですね。
松の陰
2012/04/10 21:48
初めはかわいいと思って、特定外来生物とは知らずに植えたナルトサワギクに、その後いささか苦労したので、サワギクにいいイメージはなかったのですが、クレーの絵を見るとナルトサワギクのイメージではないですね。ナルトのつかないサワギクも見てみなければと思いました。
703
2012/04/10 22:31
松の陰さん、コメントと気持玉をありがとうございました。
クレーの絵は抽象的でありながら、喜び、悲しみ、祈りの気持がよく伝わってくるように思います。自然の爽やかさを感じさせる作品もありますね。バイオリンも上手だったらしく、その絵にもメロディーやリズムを感じさせるものもあります。
宮城県立美術館をはじめ、クレーの絵画は日本にもいくつかあるようですから、機会があれば、じっくり鑑賞してみたいです。
エフ・エム
2012/04/11 08:57
703さん、コメントありがとうございました。
ナルトサワギクの実物はまだ見たことがないのですが、写真をみるときれいに見えます。ただし、特定外来生物に指定されていることなど、マイナスのイメージが強いですね。サワギクも花としては、これよりきれいとは言えないかもしれませんが、在来種であり、山地の木陰に生えるというしおらしさを感じます。サワギクはヨーロッパにはないので、クレーが見たセネシオは片山がイメージしたセネシオとはかなり違う可能性があると思います。
エフ・エム
2012/04/11 10:45

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