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zoom RSS 再びユキノシタについて

<<   作成日時 : 2012/06/19 10:32   >>

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前回のブログ「ヘビイチゴの園」の記事の中に「ユキノシタ」の写真を掲示しましたところ、花の色模様から「ハルユキノシタ (Saxifraga nipponica Makino)」の可能性をご指摘いただきました。ユキノシタ (Saxifraga stolonifera Meerb.) には通常上3枚の花弁に濃紫色の斑点があり、また基部に黄色の斑点があります。一方ハルユキノシタには紫色の斑点がなく、基部の黄色の斑点のみが認められます。この両種の特徴を比較すると、前回に示した画像の花はあたかもハルユキノシタのように見えます。

さらにまた、ユキノシタの葉の裏は紅紫色で、ハルユキノシタでは白っぽいという標準的な特徴があります。

しかし、図鑑の検索表を見ると、両種を同定する一番の決め手は、ユキノシタには赤く細長い匍匐枝を出すが、ハルユキノシタではこれを出さないことです。因に、ユキノシタの学名 に含まれる stolonifera は「匍匐枝を出す」という意味です。

そこで昨日、梅雨の晴間を利用して、もう一度この植物があった現場に行ってみました。まず葉の裏を見ますと、紅紫色はまったくなく、白っぽい緑でした。これも一般的なハルユキノシタの特徴になっているようです。そこで、匍匐枝は・・・? ありました。赤く、長い匍匐枝がそれぞれの株の茎の基部から出ていました。

ハルユキノシタが何らかの変異で匍匐枝を生ずるということはあり得ないので、やはりこの一群はユキノシタです。花や葉でアントシアニン色素の合成を発現しにくいユキノシタの変異系統と思われます。

ハルユキノシタの分布は、近畿、中部および関東西部だそうです。私の在住する守谷市(当時は守谷町)で1993~1997の5年間に行われた植物の調査では、ハルユキノシタは記録がありません(「守谷の自然誌」守谷町教育委員会)。また「神奈川県植物誌2001」(神奈川県立生命の星・地球博物館)によれば、「(神奈川県の)大山の不動尻が日本における分布の東端に当たる」とあります。従って当地は分布域からはずれているようです。

コメントをいただいたことで、ユキノシタとハルユキノシタのことがいろいろと分かりました。ありがとうございました。

画像

画像

画像

葉の裏は白っぽく、ユキノシタらしくないですが、
特徴である匍匐枝が見つかりました



追記:本文中では「匍匐枝 (runner)」という用語を使いましたが、目黒のおじいちゃんからのコメントに「走出枝」とありましたので、文部科学省・日本植物学会の学術用語集を調べたところ、runner は「走出枝」となっていました。したがって、「走出枝」を使う方が適切かと思います。

しかし「匍匐枝」でも間違いではありませんので、訂正はせずにおきます。因に、「岩波生物学辞典第4版」(岩波書店)および「生物学辞典」(東京化学同人)では runner の見出語として「匍匐枝」を使っています。

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コメント(34件)

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誤った思い込みからご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
ユキノシタに「花や葉でアントシアニン色素の合成を発現しにくいユキノシタの変異系統」があるのですね。
私は「赤い斑点が無くて黄色の斑点のみ」・「葉裏は白っぽい」この2条件でハルユキノシタと思い込んでいました。
先程傘をさして庭隅に確認に行きました。重なった葉を分けて株元を見ると確かに紅い細い匍匐枝がありました。
最も大切な条件を確認していなかったことになります。
ここ愛知県の私の庭のユキノシタとエフ・エム さんが守谷市でごらんになったものとは同じ種のように思えます。
たいへん勉強になりました。ありがとうございました。
夕菅
2012/06/19 13:05
わかりやすい解説ありがとうございます。
私もユキノシタと思いこんでいたものをもう一度葉や茎、葡萄枝の有無を調べて来ようと思います。葉と花で見当のついている名前があるので、ちゃんと確認してからアップしたいと思います。それにしても奥が深いですねえ。
田んぼの中の緑のぴこぴこ、たぶん豊年エビではないかと思います。画像がはっきりしないのですが、よかったら、ご覧くださいませ。
よしこ
2012/06/19 16:32
我が家の庭のユキノシタは上3枚の花弁に濃紫色の斑点がある普通の花を咲かせていますが、さっそく傘をさして見てきました。株元に葡萄枝がちゃんと出ていました。
ユキノシタとハルユキノシタとの違いが
丁寧な説明でよくわかりました。
I子
2012/06/19 20:57
こんばんは
ハルユキノシタ、その存在は知っていましたが、出会いはありません。
ユキノシタとの違いを改めて覚えられました。
私の住む地も、分布域からずれているようですね。
残念です・・・
YAKUMA
2012/06/19 21:14
totoさん、気持玉をありがとうございました。
エフ・エム
2012/06/20 08:18
夕菅さん、コメントありがとうございました。
私の方こそ、コメントいただいたおかげで、ユキノシタやハルユキノシタについて、いろいろ知ることができ、うれしく思っております。
こちらで見たものは、夕菅さんのお庭のものと似ているのですね。明らかに自生しているものですが、もとは栽培品種が逸出したものかも知れません。アントシアニンによる色づきは場所や気温など環境による変異も考えられますが、この場合はなんとなく遺伝変異のように思います。
どこかで典型的な野生種を見つけたいものです。
エフ・エム
2012/06/20 08:30
よしこさん、コメントありがとうございました。
植物を同定するのはなかなか難しいですね。私はよく間違えてあとで訂正したりするのですが、分類はしろうとなので仕方ないです。コメントいただくと有り難いです。
田んぼの中のホウネンエビの記事を拝見してきました。カブトエビは見たことがありますが、ホウネンエビはまだです。不思議な生き物ですね。きっとそちらは今年は豊年でしょうね。
エフ・エム
2012/06/20 09:20
eijiさん、気持玉をありがとうございました。
エフ・エム
2012/06/20 09:21
I子さん、コメントと気持玉をありがとうございました。
お庭のは典型的なユキノシタなんですね。やはり紫の斑点がある方が、モビールに見立てると見映えがすると思います。
ユキノシタは山野草としてよく栽培されているので、どんなものがあるか、園芸店など注意してみたいと思います。
エフ・エム
2012/06/20 09:28
YAKUMAさん、コメントありがとうございました。
ハルユキノシタは渓谷などにあるそうで、私にはなかなか見る機会はなさそうです。どこか植物園にでもあるといいのですが。
エフ・エム
2012/06/20 09:35
kemochimeさん、気持玉をありがとうございました。
エフ・エム
2012/06/20 09:36
えのもと@秋田さん、気持玉をありがとうございました。
エフ・エム
2012/06/20 09:37
ご案内を頂戴し早速拝読させていただきました。実は当方の画像には斑点がなかったので気にしていました。
目黒のおじいちゃん
2012/06/20 15:27
目黒のおじいちゃん、コメントありがとうございました。
ご訪問下さいましてうれしいです。
種の判定は難しいものですね。
エフ・エム
2012/06/20 22:25
我が家のユキノシタも赤い斑点がありますから
普通のユキノシタなのでしょうね。
そんな種類があるとは知りませんでした。
今度からユキノシタを見たらよーく観察して果たしてどちらの花なのか調べる事にしましょう。
あっこちゃん
2012/06/20 22:59
あっこちゃん、コメントありがとうございました。
ユキノシタはダイモンジソウなどとともに割合人気のある山野草ですね。わたしはあまり関心がなかったのですが、コメントをいただいたおかげで、興味がもてました。植物はどれもそれなりに個性をもっているので、そんな視点からいろいろ観察して行きたいと思います。
エフ・エム
2012/06/21 09:05
hideさん、気持玉をありがとうございました。
エフ・エム
2012/06/21 10:37
現地へ行って確認してきました。ランナー(走出枝)あり。
何枚も近接撮影したら小花弁に薄赤紫の斑点がありました。
よって結論を得られました。
目黒のおじいちゃん
2012/06/21 16:25
目黒のおじいちゃん、現地でのご確認ありがとうございます。
本文中、ランナーは「走出枝」とした方がよかったかも知れません。文部科学省・日本植物学会の「学術用語集」では、これを使っていますね。追記として、このことにつき述べておきます。
エフ・エム
2012/06/21 16:53
分かりやすい解説で参考になりました。
我が家にはありませんが、よそで出会ったら特徴を調べてみたいと思います。
winning-field
2012/06/21 18:09
ケロ太さん、気持玉をありがとうございました。
エフ・エム
2012/06/22 08:53
winning-feildさん、コメントありがとうございました。
いろいろ調べてみましたが、ハルユキノシタに出会うのはかなり難しそうな気がしています。渓流の近くに生えるみたいですね。
エフ・エム
2012/06/22 09:03
色々教えていただきましてありがとうございました。葉裏の色を含めて危うく間違えるところでした。今後ともご指導を賜りたくよろしくお願いします。
目黒のおじいちゃん
2012/06/22 14:53
ユキノシタにハルユキノシタという種類もあるのですね。
関西でなら見ることができるのだとか!
そろそろ野外を、長時間出歩くようにしないといけません。
この梅雨の前半の時期がまだ涼しくていいのですよね。
Tatehiko
2012/06/22 21:10
目黒のおじいちゃん、コメントありがとうございました。
私も間違えたり、判断のつかないものがときどきあります。
こちらこそよろしくお願いいたします。
エフ・エム
2012/06/23 17:20
タビビトさん、気持玉をありがとうございました。
エフ・エム
2012/06/23 17:21
Tatehikoさん、コメントありがとうございました。
猛暑がくると思うと憂鬱です。
散策も涼しい今のうちですね。
どうぞお気をつけて。
エフ・エム
2012/06/23 17:25
ハルユキノシタはランナーが無いのですね。
トキワハゼとムラサキサギゴケの見分け方のようですね。

我が家のドクダミは赤い斑点模様がありますが、葉の裏が緑なんです。
変だな〜と思っていましたが、こういうユキノシタもあるのですね。
安心しました。^^
とんとん
2012/06/25 20:45
ユキノシタとハルユキノシタがあるのですね。
見分け方を教えて頂いたので、さっそく我が家のユキノシタを、明日見てみたいと思います。
しかし、分布からすると、ハルユキノシタは、東北にはないと言うことになるのでしょうか?
みーたん
2012/06/26 00:14
とんとんさん、コメントありがとうございました。
ランナーがある、なし、という特徴ははっきりしていてありがたいです。花や葉の色や大きさだけではとても判断できないですね。
ユキノシタには園芸品種も多いですし、どちらかというと葉を楽しむ植物ですから、葉の色、かたちもいろいろあるのでしょうね。園芸品種が野外に逸出していることもあるかと思います。
エフ・エム
2012/06/26 07:19
みーたんさん、コメントありがとうございました。
ハルユキノシタの分布はどうやら神奈川県までのようなので、茨城県や福島県にはないのでしょうね。渓流を好んで生えるそうなので、見る機会は少ないかもしれません。
どこか植物園にでもあるとありがたいですが。
エフ・エム
2012/06/26 12:32
植物の同定の苦労はよくわかります。本当に難しいですね。
ユキノシタの興味深いお話、勉強になりました。
松の陰
2012/06/28 15:43
松の陰さん、コメントと気持玉をありがとうございました。
まあユキノシタでもハルユキノシタでも、ユキノシタでかまわないと思うのですが、やはり特定できないと気持がもやもやします。私も勉強になりました。
エフ・エム
2012/06/29 13:14
おばブーさん、気持玉をありがとうございました。
エフ・エム
2012/07/09 09:07

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