道草の時間

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zoom RSS ヤマブキのこと

<<   作成日時 : 2015/04/30 21:04   >>

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もうヤマブキの花はこのあたりでは終わってしまいましたが、まだこれからというところもあることでしょう。いまでこそ、あまり注目される花ではなくなってしまったようですが、鮮やかな黄金色と、花期が短くてはらはらと散る様子が古代人には印象深い花だったようです。事実、山吹の歌は万葉集に12首もあって、山吹の花に寄せる思いが強いようです。

山吹の立ちよそひたる山清水 汲みに行かめど道の知らなく  
                     高市皇子(万葉集158)
この歌には次のような注がついています。
 
 紀に曰はく、戌寅(ぼいんの)夏の四月丁亥(ていがいの)朔(つきたちの)癸巳(きし)、十市皇女卒然(にはかに)病起りて宮の中(うち)に薨(かむあがり)ましぬといへり。

すなわち、高市皇子が義姉十市皇女の亡くなったときに詠んだ挽歌で、山吹の花の黄色と山清水で黄泉の国を表現していると云われています。

山吹は自然には小川や渓流に沿って咲いているように表現されていることが多いようです。

 よしの川のほとりに山吹のさけりけるをよめる
吉野川岸の山吹ふくかぜにそこの影さへうつろひにけり 
                     紀貫之(古今集124)

植物学者北村四郎はヤマブキについて、次のように書いています。
「京都市の南、奈良街道に沿った綴喜郡井手の玉川は、奈良時代からヤマブキの名所となっていた。井堤(いで)左大臣橘諸兄(たちばなのもろえ)(684〜757年)が、井手に別送を造り、玉川(井堤川ともいう)の縁にヤマブキを一面に植えて名所としたと伝えられている。平安時代にもヤマブキの名所であった。  よみ人はわからないが、「古今和歌集に『かわずなく井出の山吹散りにけり 花のさかりに逢わましものを』の歌がある。また新古今和歌集に、藤原俊成の『駒とめて猶水かわん山吹の 花の露そう井手の玉川』、続新古今和歌集に後鳥羽院の『玉川の岸の山吹影見えて色なる波に蛙なくなり』などの歌がある。  玉川のヤマブキはその後おとろえたが、昭和三八年から、保護会がヤマブキ二万株植えたという」(北村四郎選集1 保育社)

現在も井手町の玉川の縁にはヤマブキの花が咲いているようです(井手町のホームページより)。

上記の文の中の歌にもありますが、ヤマブキはもともと水辺を好む植物なので、蛙と一緒に詠まれている歌が多いようです。

かはず鳴く神名備川(かむなびがわ)に影見えて今か咲くらむ山吹の花
           厚見王(あつみのおおきみ)(万葉集1435)

芭蕉の名句、「古池や蛙(かはず)飛びこむ水のをと」(春の日)、「古池や蛙飛ンだる水の音」(庵桜)のもう一つのバージョンとして、「山吹や蛙飛込(とびこむ)水の音」(暁山集)があります。「山吹や」の句では、古池にヤマブキが散り始めている様子が目にうかびます。

しかしヤマブキを詠んだ芭蕉の句の最高傑作はなんといっても、

ほろほろと山吹ちるか滝の音 (笈の小文)

この句には次の添書があります。

きしの山吹とよみけむ、よしのの川上こそみなやまぶきなれ。しかも一重に咲こぼれて、あはれに見え侍るぞ。桜にもおさおさをとるまじきや

私は残念ながら、川辺に咲くヤマブキをみたことがありません。
近所の公園で撮った写真などを載せておきます。

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ヤマブキ



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八重のヤマブキ



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わが庭のヤマブキの挿花



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ヤマブキの花とヤマブキ鉄砲
ヤマブキ (Kerria japonica (L.) DC)はバラ科の落葉低木。何本もの緑色の茎が地面から叢生します。野生のヤマブキは日本と中国に原産しますが、庭や公園に栽培されることの多い植物で欧米でもよく栽培されているようです。英語では、単にKerriaとよんでいるようです。 ...続きを見る
道草の時間
2016/04/15 16:34

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
ヤマブキも花期の短い花ですね。
私の庭にはシロヤマブキがありますが毎年記事にし損ねています。
ヤマブキは万葉集にもこんなに詠まれていたのですね。それらを読みながらタイムスリップした気分に浸らせていただきました。
さらに芭蕉の句も見事ですね。
ほろほろと山吹ちるか滝の音
「ちるや」としないで「ちるか」とするところに感嘆しました。
挿花のヤマブキ、渋い花器とぴったりで見事ですね。
やはり一重が好きです。
夕菅
2015/05/02 08:16
こんにちは。ぼくもヤマブキの花を今年は見ました。職場の近くの公園の少し湿ったところに毎年咲くので、生徒と一緒に見に行きました。色もきれいですし、見応えのある花ですよね。
エフ・エムさんの文章を読んで、昔から日本人になじみの花だと分かりました。
宮城野
2015/05/03 06:24
ヤマブキ色・・・日本の伝統色で、日本人には馴染みの花ですね
同じ黄色でも南国の花の黄色とは違い、深い黄色で日本画にも合いそう
挿花、まさに日本情緒いっぱい
T&M
2015/05/03 10:56
夕菅さん、コメントありがとうございました。
シロヤマブキの方は詩歌にはでてこないようですね。ヤマブキの方は、一重も八重もよく歌われているようです。古代人の趣味はずいぶん渋いものだと思いつつ、記事にしました。差花の方はもちろん家内が挿したものです。
エフ・エム
2015/05/03 11:57
宮城野さん、こめんとありがとうございました。
ちょうどサクラの頃から咲き始めますので、上ばかり見ていると見逃してしまいますね。春には黄色い花が多いのですけれど、黄色にもいろいろな色調があることが分かります。でもヤマブキの黄色は出色だと思っています。
エフ・エム
2015/05/03 12:03
T&Mさん、コメントと気持玉をありがとうございました。
ヤマブキの歌や俳句がこれだけあるのですから、きっと絵にもなっているでしょうね。忘れていました。探してみようと思います。写真にとっても見栄えのする花、いろいろ撮ってみたいですがもう大方散ってしまいました。
エフ・エム
2015/05/03 12:10

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