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zoom RSS ノイバラの中の薄紅色のイバラ

<<   作成日時 : 2016/05/23 22:17   >>

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白い花の咲くノイバラの群れの中に、薄紅色の花をつけたイバラを見つけました。花の様子はバラの品種バレリーナ(Ballerina)によく似ています。

この薄紅色のイバラがノイバラ由来のものであるかどうかを調べてみました。ノイバラと他のイバラを識別する最も顕著な特徴は、葉軸の基部に合着する托葉が深く裂けて、櫛状に見えることです。

そこで、この薄紅色のイバラの托葉を見たところ、やはりノイバラと同様の櫛状でした。ついでに、庭で鉢植えにして育てているバレリーナの托葉も調べて見たところ、やはり櫛状の托葉を持つことがわかりました。これはバレリーナがノイバラのゲノムの一部を持っていることを意味していると思われます。

葉軸や小葉の裏に白い軟毛が生えていることもノイバラの顕著な特徴です。そこで、薄紅色のイバラとバレリーナの葉軸と小葉の裏を実体顕微鏡で観察してみました。すると程度の差はあれ、両者とも葉軸と小葉の裏にノイバラと同様の軟毛が見られました。

薄紅色の花をつけるイバラがどうしてノイバラに混じっていたのかよくわかりません。ここは道に面した荒地で、こんな場所にバレリーナまたはそれに似た栽培品種を人が植えたとはちょっと考えられません。ノイバラの突然変異か、またはノイバラと他の何らかの栽培品種が交雑してむすばれた種子が発芽して育ったものかもしれません。ノイバラの花は、昆虫たちの好む花で、ハナバチ、ハナアブ、ハナムグリの仲間が絶えず訪問します。近くの住宅の庭のバラの花粉をノイバラに供給していることは十分考えられます。

この薄紅色のイバラのほか、この花とノイバラの花との中間のような花をつける個体も見つかりました。普通はあまり気づかないけれど、ノイバラに混じる薄紅色のイバラはそれほど珍しいものではないのかもしれません。

バレリーナの由来に関して、手元にあるバラの図鑑、Roger Phillips & Martyn Rix 著 “Roses” (MacMillan London版) によって調べてみました。それによると、バレリーナは、Pembertonによって育成され、Bentallによって1937年に紹介されたバラで、由来は Rosa multiflora seedling、すなわちノイバラの実生とありました。

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ノイバラ



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薄紅色のイバラ



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ノイバラと薄紅色のイバラとの中間型



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バレリーナ



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托葉のかたち 
上:ノイバラ 中:薄紅色のイバラ 下:バレリーナ



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葉軸の軟毛 
上:ノイバラ 中:薄紅色のイバラ 下:バレリーナ



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小葉の裏の軟毛 
上:ノイバラ 中:薄紅色のイバラ 下:バレリーナ



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テリハノイバラが咲いた
ノイバラ (Rosa multiflora Thunb.) の花からほぼ1か月遅れで、テリハノイバラ(Rosa wichuraiana Cr&#232;p.) の花が咲いています。ノイバラより花数は少ないですが、花自体が多少大きく、つやつやした葉に白い花がよく目立ちます。ノイバラとの大きな違いは、茎が地面を長く這うことで、ノイバラが藪となって空間を占めるのと対照的です。またノイバラの葉の裏には軟毛が多く、テリハノイバラの葉は無毛です。 ...続きを見る
道草の時間
2016/06/21 21:38

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます^^
薔薇の花というと華やかな印象を受けますが、こんなに素朴な可愛らしい野薔薇はあまり見た覚えがないかもしれません。ノイバラの白い5弁の花、バレリーナという可愛い名前のピンクのバラ、きっと良い香りがするんでしょうね〜
syocora
2016/05/26 06:36
syocoraさん、コメントありがとうございます。
バラ園の華麗なバラの花ももちろん好きですが、ノイバラやバレリーナのように野生に近いバラもいい雰囲気ですね。
「花茨故郷の路に似たる哉」。蕪村の句ですが、その懐かしさがよく伝わってきます。
エフ・エム
2016/05/26 09:24
かって私の庭にあった「トゲなしノイバラ」にも薄紅色の花が咲いたことがありました。
たしかに薄紅色のイバラとバレリーナはよく似ていますね。
バレリーナの素朴な美しさに惹かれますが、トゲがあるので敬遠しています。
シューベルトの「野ばら」(作詞ゲーテ)の紅色も気になります。
「紅(くれない)におう 野なかの薔薇」
♫ Röslein, Röslein, Röslein rot, Röslein auf der Heiden)♫
夕菅
2016/05/26 09:35
夕菅さんコメントありがとうございました。
ノイバラも蕾はピンクの色が出ているものもあるので、色素合成に関与する遺伝子は持っているように思います。何かの刺激で開いてから花弁にもその遺伝子が働く可能性はあるかもしれませんね。
私もゲーテの詩「野ばら」は何という種か、以前から気になっていたのですが、わからないままです。ヨーロッパ原産の真紅の野生バラにRosa pendulinaがあり、これだとぴったりすると思ったのですが、調べてみると通常はトゲがないようです。
Röslein sprach "Ich steche dich とありますから、この野ばらはトゲを持っているのでしょう。ゲーテの中の野ばらのイメージかもしれません。
エフ・エム
2016/05/26 16:43
品種改良され一品種毎に華麗な名前がついた豪華な薔薇もいいですが、野生に近いものも親しみが有っていいですね
ここでは後者のものしか見られないのでなおさらです
写真のノイバラも、薔薇とは思えないほど清楚で親しみがわきます
T&M
2016/06/07 10:41
T&Mさん、コメントと気持玉をありがとうございました。
バラの品種はあまりにも多く、豪華で美しいけれど、そのもとになるものは野生のバラ。世界中に分布するいろいろなバラを組み合わせて作ったのが、今の園芸用のバラ達ですが、バラの遺伝子の多様性には驚かされます。でも原点である野生のバラの素朴さ、元気さはまた別の魅力がありますね。
エフ・エム
2016/06/08 09:03

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